近年、胆石や胆嚢ポリープなどが原因で、胆嚢摘出手術を受ける方が多くなってきています。
そこで気になるのが、胆嚢摘出後の後遺症ですよね。
胆嚢摘出の後には、どんな後遺症があるのでしょうか?
今回は、そんな気になる疑問にお答えします。
胆嚢ってどんな臓器?摘出して問題はないの?
胆嚢とは、中鎖骨線と、9番目のあばら骨の先が交わったところの皮膚の下にある臓器です。
西洋ナシの形をしていて、30~50mlの容積を持った、袋状の形をしています。
この臓器は、肝臓で作られた胆汁をいったん蓄え、濃縮し、食べ物が腸内に入ってきたときに胆汁を排出し、消化を助ける働きを持っています。
胆汁は脂肪を水のように溶けやすくする性質があり、特に脂っこい食事をした時に多く排出されます。
胆嚢とは、濃縮された胆汁が排出し、脂肪の分解・吸収を助けてくれる大切な臓器なのです。
しかし、その胆嚢が、胆石や胆嚢炎、胆嚢ポリープなどによって、胆嚢の働きが悪くなっていたり、痛みが生じている場合は、摘出手術を施さなければならない場合があります。
胆嚢の働きも悪くなく、痛みもない場合は、そのまま経過観察の場合や、投薬での治療になる場合もありますが、ほとんどの方が手術を受けています。
「胆嚢を取って、体に影響はないの?」と、思ってしまいますよね?
実は、胆嚢をとっても体への影響はほとんどありません。
食べ物の消化を助けるためには、大切な役割を持っていますが、胆汁は肝臓で作られているため、胆嚢がなくても食べ物の消化は行えるのです。
胆石が発見された場合、そのほとんどが炎症も起こしているため、もう機能していない場合がほとんどです。
機能していない臓器を取り出しても、特に問題はないということです。
ただし、胆嚢を蓄えておくことができない為、摘出した後は消化が悪くなり、便が緩くなりがちです。
下痢や胸やけなどを起こさないようにするためにも、油っぽい食事は控える必要があります。
手術自体は、胆嚢の状態にもよりますが、比較的回復も早く、傷もほとんど目立ちません。
術後は、合併症がなければ平均して4~7日、長くても14日ほどで退院が可能です。
退院後の通院も1、2回で済み、定期的な通院の必要はありません。
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胆嚢摘出手術のあとに後遺症ってあるの?
胆嚢摘出手術は、比較的回復が早く、胆嚢の欠損症状もほとんど認められませんが、ごくまれに手術後の後遺症がある場合があります。
「胆嚢摘出後症候群」と呼ばれています。
【症状】
- 腹痛
- 黄疸
- 発熱
- 吐き気
- 腹部膨満感
- 便通異常(下痢など)
多くの場合は、手術で取り残してしまった胆管結石があったり、手術後に胆管が細くなったり、乳頭炎や、慢性膵炎などを併発したことが原因となります。
しかし、それ以外にも明から病変が指摘できない場合もあります。
そのような場合は、胆汁がうまく流れず、胆道の内圧が上昇してしまうため、腹痛などの症状が出現するのではないかと考えられています。
また、手術による精神的なストレスによっても腹痛などを引き起こす場合もあります。
その他の合併症には、手術後に出血を起こす、胆汁が漏れ出す胆汁漏などがあり、点滴治療や追加の手術処置を行います。
傷が生んでしまう創感染、肺炎、胆汁の流れ道を傷つけてしまう胆管損傷、小腸や大腸を傷つける腸管損傷なども後遺症としてあります。
しかし、これらの合併症は、どれもまれなものであり、報告例はかなり少ないものです。
一般的に起こりやすい後遺症は、便が緩くなる程度のもので、まず後遺症が少ない手術ですので、安心してください。
これから手術を受ける方は、医師から十分に説明を受け、納得するまで不安を取り除くようにしましょう。
そして、万が一後遺症の症状が少しでも現れた場合は、すぐに手術を担当した医師に相談しましょう。
安心して手術を受けるために
後遺症がほとんどない手術だといっても、おなかを開くともなれば、どうしても不安は付きまとうものですよね。
そんな時は、一人で悩まずに、周囲の人や、医師に不安な気持ちを伝えるようにしましょう。
そして、その医師が今までどれだけの手術経験があるか、その後の患者に問題が起こらなかったかなど、納得するまで相談してみるのも良いでしょう。
不安を抱えたままだと、術後にストレスとなって、症状が現れる場合もあります。
信頼できる医師の元、安心して手術に挑めるように、周囲や医師に相談することも大切です。
胆嚢摘出手術は、現在20万人もの人が受けているそうです。
胆嚢を取るとすい臓がんになるだとか、いろんなデマが流れていますが、そのようなデマに流されず、手術を受けた人の体験談などを聞くことも良いかもしれませんね。
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