暑い時期になるとスーパーでは冬瓜(とうがん)が並ぶことがありますが、同じような見た目で夕顔(ゆうがお)ってありますよね?
あれ?この2つって同じもの?・・・なんて思うほど、そっくりですが、一体どんな違いがあるのでしょうか?
今回は「冬瓜」と「夕顔」の違いについてお伝えします。
冬瓜と夕顔の違いって何?
同じ季節に収穫される「冬瓜」と「夕顔」。
この2つの植物は、見た目が非常によく似ているため間違いやすいのですが、別の植物です。
どちらも、キュウリやスイカと同じウリ科に属しているため、非常に良く似ています。
しかし、その用途は異なり、それぞれに違う形で私たちの口に運ばれています。
冬瓜
原産はインド、東南アジアで、日本では平安時代から栽培されています。
7月から8月に収穫される夏の野菜で、大きいもので短径30㎝、長径80㎝程度にもなる楕円形の野菜です。
黄色い花をつけ、皮の色は緑色、実は固く、種の周りには空洞があります。
夏の野菜なのに「冬」の字がついているのは、切らずに丸ごと冷暗所においておけば、冬まで保存できることからつけられたといわれています。
その実の96%は水分で、味はほとんどないため、煮物やあんかけ、酢の物など、他の味を含ませる料理に用いられます。
若葉や柔らかい蔓も葉野菜として、炒め物にも用いられます。
また、シロップで煮て砂糖をからめたお菓子になったり、焼き菓子の具に混ぜたり、餡の増量に用いられることもあったりと、非常に用途の幅が広い食材です。
また、漢方としても使用されています。
実は体を冷やして熱を冷まし、種子は「冬瓜仁(とうがんにん)」などと呼ばれて利尿剤として用いられています。
夕顔
北アフリカ、またはインドが原産地で、古くから日本でも栽培されていましたが、いつから栽培されていたかの詳しい時期は分かっていません。
夏の夕方に開いた白い花が、翌日の午前中にしぼんでしまうことからその名がつきました。
「夜顔」と呼ばれることもあります。
似たような花の咲き方で、アサガオ・ヒルガオがありますが、こちらはヒルガオ科の植物のため、直接の類縁関係はありません。
夕顔には「長ユウガオ」と「丸ユウガオ」の2種類があり、長ユウガオは実をくりぬいて干し、容器として使用されます。
同じく、容器として使われている「ひょうたん」は、夕顔と同一種です。
インドから伝わってきた「ひょうたん」が、苦みの少ない食用のものと分化して栽培されたのがユウガオとされています。
丸ユウガオは、実を細長く切って干した「かんぴょう」の材料として使用されます。
どちらも大きな実をつけるのが特徴で、白い花を咲かせ、皮は黄緑色をしています。
その実は柔らかく、隙間なくぎっしり詰まっています。
沖縄地方では炒め物などにそのまま利用されていますが、その他の地域では、生のまま市場に出ることはほとんどありません。
ウリ科アレルギーに注意
「冬瓜」と「夕顔」は同じウリ科の植物。
同じウリ科の植物には、私たちの食卓に並ぶものが多くあります。
ウリ科の植物
- かぼちゃ
- スイカ
- メロン
- きゅうり
- ツルレイシ(ゴーヤ)
- ズッキーニ
- へちま
- 夕顔
- 冬瓜
- ひょうたん
- はやとうり
これ以外にもさまざまな品種があります。
ウリ科には、ウリ科特有の「ククルビタシン」という苦み成分が含まれています。
この苦み成分は、ヘタに近い部分に多く含まれ、特にツルレイシ(ゴーヤ)に非常に多く含まれています。
このウリ科特有の苦みが苦手な方もいらっしゃるのではないでしょうか?
メロンやスイカにも含まれていますが、含有量が少ないためにあまり感じることはありません。
しかし、若いメロンやスイカを食べた時に感じる青臭さは、このククルビタシンによる苦みが関係しています。
また、ウリ科はブタクサ花粉症との関係も報告されており、人によっては口腔内がかゆくなる、じんましんが出る、腹痛があるなどの症状を訴えることもあります。
「え!?ウリ科でアレルギーなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、実際に症状を訴える方はいらっしゃいます。
食卓に並ぶことの多いウリ科ですが、実はウリ科アレルギーだった・・・!なんてこともあるかもしれません。
食事の後に異変を感じている場合は、もしかしたらウリ科かもしれませんね。
レシピを活用して夏の食卓に
冬瓜や夕顔といったウリ科の植物は、7月から8月の暑い季節が旬の野菜。
特に冬瓜は、煮ても漬けても、和食にもデザートにもなる万能食材です。
夕顔を原料としたかんぴょうも、手巻きずしには欠かせない食材です。
レシピを活用すれば、夏の食卓のレパートリーが一気に増えますよ。
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