主人の扶養範囲内で働きたい、と考えている主婦の方は多いのではないでしょうか?
でも、健康保険の扶養の条件って、ちょっとわかりにくいですよね?
よく、103万円の壁、130万円の壁、なんてことを聞きますが、この壁っていったい何のこと?と、頭にはてなマークが浮かんでいる方も多いかと思います。
今回は、健康保険の扶養条件についてお伝えいたします。
扶養に入れる人の範囲は?
扶養に入ると言っても、だれでも入れるわけではなく、いくつかの条件を満たしている必要があります。
健康保険と厚生年金のそれぞれに条件があるので、よく確認しましょう。
まず、健康保険の「扶養」に入ることができる対象者についてお話します。
扶養の対象者(被扶養者)は、主に生計を支えている人(被保険者)、例えばこれが夫の場合は、夫から見てどのような続柄になるかに注目します。
被扶養者の範囲
1、別居でも同居でも良い人
- 配偶者(内縁関係でも可)
- 子(養子でも可)、弟、妹、孫
- 父母や祖父母といった直系尊属(父母と同列か、父母より目上の血縁者)
2、同居が条件となる人
- 兄、姉、叔父、叔母といった、3親等内の親族
- 内縁関係の配偶者の子や父母
このほか、以下の場合は、一時的な別居とされるため、同居と同じ条件になります。
- 病気で入院している場合
- 施設などに入所している場合
- 転任に伴い、新任地における住宅事情のため、2~3か月別居している場合
ただし、この条件は一般的な全国健康保険協会を参考にしていますので、会社の健康保険組合によっては、条件が異なる場合があります。
詳細な条件に関しては、会社の窓口を通して確認してみましょう。
厚生年金の場合は、「20歳以上、60歳未満の配偶者」が対象となっています。
扶養に入るたの収入の条件とは?
次に、被扶養者の収入の条件に付いてお話します。
ここで出てくるのが、103万円の壁と、130万円の壁です。
まず、健康保険での収入の条件が、「年間の合計収入金額が130万円以下の人」と定められています。
「過去1年間、収入が130万円超えてるから、扶養に入れない?!」と思いがちですが、そうではありません。
実はこの「年間合計収入130万円以下」とは、扶養申請をした「以降」の年間の「収入見込み金額」の事なのです。
つまり、過去1年間に130万円を超えていても、現在無職であれば、申請することができます。
申請時には、間近3か月の収入証明の提出が必要となります。
例えば、現在11月で、8月まで働いていた場合、
- 昨年~8月 14万円の収入
- 9月 退職し、収入0円
- 10月 収入0円
- 11月(現在)
9月、10月の収入がなく、年間130万円の収入に届く見込みがない場合は、扶養条件に当てはまるということになります。
扶養の収入条件は、月単位にすると「10万8334円未満」、1日単位だと「3611円以下」となります。
失業保険の給付金を受け取っている場合も、収入とみなされます。
1日にこの金額以上受け取っていると、扶養の条件から外れてしまうため、よく確認をしたほうがよいでしょう。
130万円を超える金額が見込まれる場合は、「扶養範囲外」とみなされ、国民健康保険や年金などを自分で支払うことになります。
扶養範囲内で収入を得ようと考えている場合は、その旨を会社に伝えておくと良いでしょう。
健康保険と厚生年金は、通常セットで加入するため、扶養の条件も同じと考えてよいでしょう。
健康保険の扶養申請を行えば、同時に手続してもらえます。
扶養に入った後に届く、それぞれの通知を確認しましょう。
もう一つの壁!「103万円の壁」とは?
ここまで紹介してきたのは健康保険上の扶養ですが、扶養にはもう一つ考えなければならないものがあります。
それは、「所得税上の扶養範囲」です。
これは健康保険とは全く違う収入条件がもうけられているため、せっかく扶養に入ったのに、いきなり請求が来てびっくり!ということもあり得ますので、注意が必要です。
この所得税上の扶養範囲外の収入がある場合、所得税・住民税が課税されます。
この所得税上の扶養範囲の収入条件が、「年間合計所得38万円以下」なのです。
「え?38万円以下って少なくない?」と思いますよね?
詳しく解説していきましょう。
パートで収入を得ている場合は、基本的には、「給与所得」と、「給与所得控除」を足したものが収入となります。
給与所得+所得控除=課税所得
この「課税所得」に課税されるため、金額に応じた所得税・住民税を支払うことになります。
給与所得控除は、だれでも受けられる平等の権利で、年間65万円。
給与所得(38万円)+所得控除(65万円)=課税所得(103万円)
つまり、年間103万円までの収入であれば、所得税上も扶養条件に当てはまるということになります。
これが、「103万円の壁」なのです。
この収入条件は、1月~12月の年単位で判断され、
- 納税者の6親等内の血族、もしくは3親等以内の婚族であること
- 納税者と同一生計であること
- 合計所得金額が38万円以下であること
が条件となっています。
払わなくて良いと思っていた請求が来た!とあわてない為にも、自分の収入をよくよく確認しておきましょう。
ただし、住民税は合計所得金額が93万円を超えていると請求される場合がありますので、住んでいる地方自治体に確認してみましょう。
おわりに
扶養に入るためには、ご自分の収入条件を良く確認しなければなりません。
所得税関係や健康保険上の条件が異なっているため、ややこしいですよね?
でも、きちんと調べておかないと、後で突然請求がきた!なんてことにもなりかねません。
加えて、各地方自治体・各組合でも、条件が異なっている場合もあります。
扶養に入る際には、それぞれに確認を取り、理解したうえで申請するようにしましょう。