少子化や晩婚化に伴って、不妊治療を受けている夫婦は年々増えつつあります。
不妊治療にはどうしてもまとまったお金が必要になるため、国から助成金が支給されています。
しかし、2016年から、その助成金に年齢制限が設けられることになりました。
今回は、不妊治療の助成金についてお伝えいたします。
不妊治療の年齢制限はいつ?どんな治療が対象なの?
不妊治療には、大きく分けて3段階の治療があります。
第1段階「一般不妊治療」(タイミング法、ホルモン療法、人工授精)
第2段階「高度生殖医療」(体外受精、顕微授精)
第3段階「手術療法」
第1段階から治療が始まり、結果が出ないと次の段階、また結果が出ないと次の段階、といったように、段階的に行われていきます。
助成金が支給されるのは、第2段階の治療から。
第1段階では、助成金は支給されません。
2016年度から年齢制限が設けられることになった助成金制度ですが、そもそもそれまでの不妊治療助成制度って、どのようなものだったのでしょうか?
【これまでの不妊治療助成制度】
- 患者の経済的負担の軽減と、少子化対策の一環として2004年にスタート
- 保険適用外の体外受精、顕微授精が対象
- 1回あたり最大15万円、通算5年で最大10回まで支給
- 年齢制限なし
- 世帯所得730万円までの夫婦が対象
【今後の不妊治療助成制度】
- 43歳未満(42歳以下)が対象に
- 通算5年間の支給期間を廃止する代わりに、受給は通算6回までに減る
- 40歳以降に不妊治療を始めた場合、支給は3回まで
助成金金額や、所得制限は現行のままですが、こちらも見直す可能性があるとのこと。
所得制限である、世帯収入730万円以下、というのは、税金を引いた金額のことなので、夫婦合わせて1000万円ほどの収入がなければ、助成が受けられることになります。
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なぜ年齢制限が設けられたの?みんなの意見は?
なぜ今回、不妊治療に年齢制限が設けられることになったのでしょうか?
それは、妊娠・出産に関する健康へのリスクが、理由としてあげられています。
加齢とともに、体外受精での出産成功率が、32歳までは約20%なのに対し、40歳では7.7%、45歳では0.6%までに落ち込みます。
さらに、高齢での妊娠は、流産や合併症のリスクが増えることも理由の一つです。
43歳以上の妊娠では、その約半数が流産という結果になっています。
43歳以上の妊娠・出産には、母子ともに非常にリスクが伴うことから、年齢制限が設けられるようになったのです。
しかし、一番の本音は公費負担の抑制があげられます。
2004年度では約25億円の助成金に対し、2012年には、約200億円にまで増加しました。
助成金の年齢制限は、「母子ともにリスクを伴う高齢出産を助成するよりも、確率の高い若い世代を中心に助成を行いましょう。」
という方針転換の結果設けられました。
この年齢制限に関しては、賛成・反対ともに、さまざまな意見が寄せられています。
おわりに
日本は今、少子高齢化が進んでいます。
出生率も減少し、不妊治療中である夫婦の数は増えてきています。
子どもを持ちたい!と、切実に願っている夫婦にとって、不妊治療助成制度はとてもありがたいものですよね。
さらに、毎年の確定申告で、医療費控除の申請をすれば、かかった医療費の一部が戻ってくるなど、知っておけば金銭的な負担がかなり軽減されます。
今回、年齢制限が設けられたことに対して、賛成・反対ともに多く意見が寄せられています。
現在不妊治療中の方もそうでない方も、今後変わっていく制度に注目していきたいですね。